電気料金の値上がり。電力自由化による電気料金高騰の対策(海外事例編)
2018.09.24
そもそも電力の自由化とは
電力の自由化(正式名称:電力小売全面自由化)は2016年4月1日にスタートしました。2016年当時はよくニュースで取り上げられるような話題でしたが、それから2年半が経ち、少しずつ問題が起こり始めているのをご存知ですか?
本記事では、電力の自由化によって近い未来、日本で起こりうる問題を海外の事例を基に考え、対策としてどうしていけばよいのかご紹介致します。
電力の自由化ってどんな制度?
電力の自由化が制度化する前、東京電力や関西電力、九州電力など、9社の電力会社が電力の供給を担っていました。
そのため、引越で他の都道府県に住むことになったとしても、電力会社は各地域で決まっており、自由に選ぶことができませんでした。
また、そもそも「電力会社が実は電気料金を高く設定しているのでは?」など考える方も少なかったのではと思います。
電力の自由化後、既存の9社だけでなく、全くエネルギー供給に携わったことのない企業も電力事業に乗り出すことができ、消費者はよりお得な会社と自由に契約を結べるようになりました。
日本は電力の自由化になぜ乗り出したの?
電力の自由化以前、9つの電力会社限定することによって、安定して電力を各消費供給することができていましたが、それでは電力事業の発展には余り繋がりませんでした。
そこで、電力の自由化を制度化し、異業種の企業が電力事業に乗り出すことによって、電力事業のさらなる発展とグローバル化を狙っています。
企業には電力事業についてのアイデアをどんどん考えてもらい、ビジネスチャンスを増やしてもらう。
電力を使用する消費者側には、企業同士の電力の価格競争によって料金が安くなった会社を選んだり、お得なプランを設定している会社を選んだりと好きな企業と契約してもらう。
企業側、消費者側のどちらにとっても素晴らしいということで設置した制度なんですね!
電力の自由化によって、消費者には具体的にはどんなメリットがあるの?
電力の自由化での最大のメリットは、消費者が好きな会社と自由に電力供給の契約を結べるようになったことです。
そのため、より電気料金が安く、お得なプランを契約者が自由に選べるようになりました。
例えば、携帯電話会社と契約する際に、携帯電話と電気をセットで契約することで、月数百円お安くなるプランがあります。
また、楽天でんきでは契約すると楽天ポイントが2000ポイント付加(2018年11月現在)されたり、電気料金200円ごとに1ポイント付与されたりするといった特典もあります。
これをみると、電力の自由化は非常にいいことばかりのように見えますね。ですが、実は日本よりも早く電力の自由化を制度化した国では様々な問題も起こっているようです。
日本よりも早く電力の自由化を採用した国に起きた問題点
アメリカの電力自由化
最初の見出しでお話したように、電力の自由化の最大のメリットは企業間の価格競争が起きて電気料金が安くなることです。
しかし、アメリカの一部の州では電力の自由化後、電気料金が安くなるどころか、高くなってしまった州があります。
なぜ、そのような現象が起きてしまったか。それは電力会社と契約者の間に仲介業者が参入するようになったからなんです。
電力事業に新規参入する会社の多くは、自社で電力を作っておらず、既存の電力会社から電力を買い、それを契約するという仕組みを作っています。
つまり、仲介業者を挟んだ電力の取引が多くなってしまったため、中抜きが行われて電気料金が高くなってしまったんですね。
ドイツの電力自由化
ドイツが電力の自由化を施行したのは1998年。
目的はもちろん、電力を自由化することによって、価格競争を起こして電気料金を下げることでした。
しかし、アメリカと異なる理由で電気料金が高くなってしまったんです。
それは再エネ賦課金(再生可能エネルギーの普及を目的とした賦課金)が年々高くなっているからです。
ドイツでは、2010年2.047ユーロ/kWh(日本円で約263円)だったのに対し、2018年6.792ユーロ/kWh(日本円で約873円)に上昇しています。たった7年で3.3倍も上昇したのです。
そのため、ドイツでは年々高くなる電気料金対策として、蓄電池等を導入することで電力を自給自足している家庭が年々増加しています。
イギリスの電力自由化
イギリスが電力の自由化を施行したのは1999年。
電力の自由化以降、「エネルギープア」という存在が社会問題となっています。
「エネルギープア」とは収入の10%以上を光熱費で支出してしまっている方たちのことをいいます。
電力の自由化以前は「エネルギープア」の割合は数%だったのに対し、現在は10%以上に増加しています。
電力の自由化以降、富裕層は蓄電池を買って売電したり、安く電気を確保したりすることができましたが、貧困層はそうは行きません。
今までの電気料金にプラスして、富裕層が支払わなくなった託送料金や再エネ賦課金を支払わなくてはならないというしわ寄せが来てしまいました。
そのため、光熱費の支払いでも差が生まれ、ますます貧富の差が開いているということがイギリス国内でも大きな社会問題となっています。
海外の事例から今後日本に起こりうる問題点とその解決策
海外の事例を見ると、電力の自由化はいいことばかりではないようです。
日本は電力の自由化が施行されて2年半が経ちました。
まだ、大きな問題は起こっていませんが、今後日本でも海外の事例のような問題が起こる可能性は充分にあります。
今後電気料金は値上がりしていくかもしれない。
まず、今後の日本は、電力会社と契約者の間に入る仲介業者によって電気料金が高くなる可能性があります。
海外の事例と同じように、電力の自由化によって日本でも多くの企業が電力事業に乗り出して来ています。
しかし、電力事業に新規参入したほとんどの企業が自社で電力を作っているわけではなく、従来の電力会社9社から電力を買い、各家庭などと契約を結んでいます。
つまり、仲介業者の役割をしている企業が多いということです。
現在は、新規参入した電力会社と契約を結んだことで、電気料金が高くなったということはほとんど聞きませんが、今後電力不足や不況の風を受けて、アメリカの事例のように、電気料金が高くなるということは起きるかもしれません。
そして、再エネ賦課金が上昇することで電気料金が高くなる可能性があります。
毎月電力会社から送付される電気料金の明細書を見ていただきたいのですが、実は日本でも再エネ賦課金を導入しています。
日本の再エネ賦課金はドイツほど高くはありませんが、年々高くなってきているのが現状です。
再エネ部課金の料金は2012年0.22円/kWhだったのに対し、2018年現在は2.90円/kWhとたった6年間で13.2倍も高くなっています。
そのため、再エネ賦課金の上昇することで電気料金が高くなっていく可能性は大いにあります。
電気料金の値上がり対策・解決策について
海外の事例から、そして日本の現状から見ても、今後電気料金が上昇していく可能性は非常に高いです。
今後の値上がり対策として、ドイツのように、電力の自家発電をしていくことが主流になっていくと思います。
自家発電の方法は電気自動車やエコキュートなど様々な方法がありますが、おすすめは蓄電池による電気の蓄電です。
蓄電池は、太陽光で発電し使用しなかった余剰電力を溜めることができ、太陽光発電が使えない夜に蓄電池に溜めた電力を使って生活をすることで電気代を安くする事ができます。
現在、多くの家庭で太陽光発電を設置してますが、そのほとんどの家庭が太陽光発電で余った電力を電力会社へ売電しています。
しかし、数年前まで高かった売電価格も年々下がり、2019年問題と呼ばれる売電価格の超下落によって売電は今後得とは言えなくなってくるのです。
2019年問題の影響もあり、多くの企業が本格的に蓄電池の開発に乗り出しているため、価格競争が起こり、蓄電池の価格は下がっています。
いち早く電気料金の上昇に危機感を感じ、自家発電に乗り出していく家庭が、光熱費にあまり苦しまず生活ができるようになるのではないでしょうか。
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